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就労継続支援B型における加算・減算を一覧にて解説

就労継続支援B型事業を運営するにあたり、加算の活用は収支改善において重要な役割を果たします。
適切な加算を取得することで収益を向上させるだけでなく、利用者への支援内容の充実にもつながります。
本記事では、収支の観点から加算の仕組みと取得条件を詳しく解説し、効率的な事業運営のヒントを提供します。
加算を活用して事業の成長、売上アップを目指しましょう。

就労継続支援B型における加算と減算

就労継続支援B型事業所を運営するにあたり、
収益に直結する「加算」と「減算」についておさえておくことがポイントになります。
本記事では、収益の向上と適切な運営に向け、主な加算・減算要件を表形式にて解説します。

加算:サービスの質向上や利用者支援の強化を評価し、報酬に上乗せされる
減算:運営基準やサービス提供体制が不十分な場合に報酬が減額される

就労継続支援B型に関する加算一覧

加算区分 概要 備考
視覚・聴覚言語障害者支援加算 視覚・聴覚・言語障害支援の専門体制を整備した場合の加算。 視覚、聴覚、言語機能に重度の障害がある利用者が一定数以上、
意思疎通に関し専門性を有する職員を一定数以上配置。
就労移行支援体制加算 就労継続支援B型事業の利用者が就職し、6か月以上勤務継続した場合に算定。 前年度の就職者実績が必要。
就労移行連携加算 就労移行支援事業所との連携や情報提供を実施した場合に加算。 関連機関と連絡調整を行うこと。
初期加算 利用開始後30日以内の基本報酬に加算。 初回利用者であること。
訪問支援特別加算 利用者が連続して5日間利用しなかったとき、
居宅を訪問して相談援助を実施した場合に加算。
月2回目まで加算。
利用者負担上限額管理加算 利用者負担額合計額の上限管理事務を担当した場合の加算。 利用者の自己負担を管理すること。
食事提供体制加算 一定収入以下の利用者に適切な体制で食事提供した場合の加算。 食事提供の体制整備、収入要件を満たすこと。
福祉専門職員配置等加算 質の高い支援員を配置した場合の加算。 所定資格や常勤職員の割合を満たすこと。
ピアサポート実施加算 ピアサポートを提供する職員を配置した場合の加算。 ピアサポート研修修了者を配置。
「利用者の就労や生産活動等への参加等」をもって一律に評価する報酬体系(就労継続支援B型サービス費Ⅳ~Ⅵ)であること
欠席時対応加算 欠席者への連絡調整や相談援助を実施した場合に加算。 急病等により利用を中止した際に対応。
月4回まで加算。
医療連携体制加算 医療機関等の連携により、看護職員が利用者に関与した場合の加算。 医療機関との連携、看護職員の配置。
地域協働加算 地域住民等と協働して生産活動に係る支援を行い、その活動内容を公表した場合の加算。 協働活動を記録し公開する。
「利用者の就労や生産活動等への参加等」をもって一律に評価する報酬体系(就労継続支援B型サービス費Ⅳ~Ⅵ)であること
重度者支援体制加算 重度障害者(障害年金1級受給者)が一定数以上いる場合の加算。 前年度実績を基準に算定。
目標工賃達成指導員配置加算 工賃向上計画を作成し、目標工賃達成指導員を配置した場合の加算。 工賃向上計画を事業所が策定し、目標工賃達成指導員を配置。
目標工賃達成加算 工賃目標を達成した場合に加算。 工賃向上計画に掲げた目標を達成。
前年度実績を基準に算定。
送迎加算 居宅等と事業所・施設との間の送迎を行った場合に加算。 実際の送迎実績を記録。
障害福祉サービスの体験利用支援加算 利用者が障害福祉サービス事業の体験利用を行った場合に加算。 自分の事業所の利用者が他の障害福祉サービスを体験利用すること。
在宅時生活支援加算 居宅支援を希望し、かつ市町村が認める者に対し、事業所が支援・費用負担した場合に加算。 居宅介護や重度訪問介護利用者など必要性が認められること。
社会生活支援特別加算 医療観察法に基づく通院医療の利用者、刑務所出所者などに対して、相談援助や個別支援等を行った場合の加算。 研修や職員配置、関係機関との協力体制の要件を満たすこと。
福祉・介護職員等処遇改善加算 職員の賃金向上を目的とした加算。 新制度に基づく要件を満たす。
高次脳機能障害者支援加算 高次脳機能障害者への支援を評価する加算。 高次脳機能障害者が30%以上、養成研修修了者の配置。
前年度実績を基準に算定。
集中的支援加算 強度行動障害が悪化した際に専門支援を提供した場合の加算。 専門の「広域的支援人材」による支援実施。
月4回まで加算。
緊急時受入加算 障害の特性に起因する緊急事態に夜間支援を行った場合に算定。 地域生活支援拠点等の要件を満たすこと。

 

就労継続支援B型に関する減算一覧

減算区分 概要 備考
定員超過利用減算 利用者数が定員を超過し、一定条件を満たした場合に適用。 1日当たりの利用者数の超過。
過去3か月間の平均利用人員による超過。
サービス提供職員欠如減算 生活支援員・職業指導員が基準を満たさない状態で一定条件に該当すると適用。 職員配置基準未満の期間が継続する。
サービス管理責任者欠如減算 サービス管理責任者が基準を満たさない状態が一定以上続いた場合に適用。 サービス管理責任者の配置基準未満の期間が継続する。
個別支援計画未作成減算 個別支援計画が未作成、または不備がある状態が一定以上続いた場合に適用。 計画の未作成または不備が認められる期間が継続する。
身体拘束廃止未実施減算 身体拘束等の適正化に関する取り組みが不足している場合に適用。 拘束適正化に対し不足があること。
虐待防止措置未実施減算 障害者虐待防止措置が未実施の場合に適用。 職員研修や虐待防止委員会設置などの対応不足がある。
業務継続計画未策定減算 感染症または非常災害に関する業務継続計画(BCP)が未策定の場合に適用。 感染症指針や具体的な非常災害計画が策定されていない場合
(2025年3月31日までは一部経過措置あり)。
情報公表未報告減算 障害福祉サービス情報公表システムに必要情報を報告していない場合に適用。 システム上で情報更新や報告が未完了であること。
短時間利用減算 平均利用時間が短い利用者が多い場合に適用。 直近3か月の平均利用時間が4時間未満の利用者が全体の50%以上を占める。
「利用者の就労や生産活動等への参加等」をもって一律に評価する報酬体系(就労継続支援B型サービス費Ⅳ~Ⅵ)であること

 

加算・減算の留意点

  1. 加算要件の遵守:
    記録や評価の実施状況が重要視されるため、日々の業務記録や報告書の作成を徹底しましょう。
  2. 定期的な見直し:
    加算・減算の要件や基準は改定されることがあります。厚生労働省の通知や自治体からの連絡を確認することが重要です。
  3. 職員の教育と連携:
    職員が要件を理解し、適切に対応できるように研修や定期的な情報共有を行いましょう。
  4. 運営指導、監査対策:
    加算を受けた内容が監査時に確認される可能性があるため、書類や証拠の保管を怠らないようにしましょう。

まとめ

加算を効果的に活用することで、就労継続支援B型事業の収支を大きく改善することが可能です。
各加算の要件を正しく理解し、計画的に導入することで、安定した収益基盤を築くとともに、利用者への支援の質を向上させることができます。
収支管理を意識した運営で、持続可能な事業展開を実現しましょう。
さらに詳細な情報や具体的なサポートが必要な場合は、お気軽にお問い合わせください。
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参考文献、出典

障害者総合支援法 事業者ハンドブック「報酬編」
障害福祉サービス等報酬改定について_令和6年
障害福祉サービス費等の報酬算定構造_令和6年

 

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