投稿記事

児童発達支援とは?事業者向けに開設と指定申請のポイントについて解説

障害児通所支援事業を検討中の皆さまへ。
この記事では、「児童発達支援」について、初めての方でも理解しやすいように解説します。
事業の立ち上げに役立つ情報をお届けします。

 

児童発達支援とは?

児童発達支援は、未就学の障がい児を対象に、日常生活に必要な基本的動作や集団生活への適応を支援するサービスです。
障がいの有無に関わらず、発達の遅れが気になる方も支援対象となります。
​家庭や保育所、幼稚園などと連携し、個々の発達段階に応じた支援を提供します。

児童発達支援の目的・役割

児童発達支援の主な目的は以下の通りです。

  • 基本的な生活習慣の習得(食事、排泄、着替えなど)
  • コミュニケーション能力の向上
  • 集団生活への適応支援
  • 家族への支援と相談​

障がいのある児童(本人)への発達支援はもちろんですが
家族支援や地域支援・地域連携などの役割も担っています。
これらを通じて、子どもたちの健やかな成長と社会参加を促進します。

 

児童発達支援の特徴

  • 対象年齢:​主に0歳から6歳の未就学児
  • 支援内容:​個別支援計画に基づく療育、日常生活の指導
  • 支援方法:​個別または小集団での活動
  • 連携体制:​保護者、医療機関、教育機関との連携

児童発達支援センターと児童発達支援事業所の違い

児童発達支援は『児童発達支援センター』と『児童発達支援事業所』の2つに大別されます。
障がいのある児童や家族支援は共通していますが
児童発達支援センターは相談支援や地域の関係機関との連携、地域支援体制の構築が求められる
地域の中核的な支援施設になります。

 

児童発達支援事業を開設するまでの手順

児童発達支援事業を開設するための一般的な流れ

  • 法人の設立:​株式会社、合同会社、NPO法人など
  • 事業計画の策定:​サービス内容、運営方針、収支計画の作成(運営基準を満たす
  • 施設の確保:​設備基準を満たす物件の選定
  • 職員の採用:​人員基準を満たす職員(児童発達支援管理責任者、保育士、児童指導員など)
  • 指定申請の提出:​管轄の自治体へ必要書類を提出し、審査(許可)を受ける

開設に向けて重要になるのが「人員基準」と「設備基準」です。
特に人員基準については、要件が複雑であったり、分かりづらいため注意が必要です。

 

児童発達支援事業所の人員基準

職種 配置基準 備考
管理者 1名以上 兼務可(原則として管理業務に従事するもの)
※指定権者により認めていないケースもあるため確認要
児童発達支援管理責任者 1名以上 1名以上は専任かつ常勤
児童指導員または保育士 2名以上 1名以上は常勤
児童が10名超:2名に児童の数が10を超えて5又はその端数を増すごとに1を加えて得た数以上
例:定員11人~15人→3名以上、定員16人~20人→4名以上
機能訓練担当職員等の数を含める場合は、合計数の半数以上は児童指導員または保育士でなければならない
看護職員 医療的ケアを行う場合に設置 医療機関等との連携により、看護職員を事業所に訪問させ、
医療的ケアを行わせる場合等は、看護職員を置かないことができる。
保健師、助産師、看護師又は准看護師等
児童指導員または保育士の数に含むことができる
機能訓練担当職員 機能訓練を行う場合に設置 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理指導担当職員等
児童指導員または保育士の数に含むことができる
【主に重症心身障害児を通わせる場合】
次の①から⑤につき各々1 人以上配置すること
①嘱託医、②看護職員、③児童指導員又は保育士、④機能訓練担当職員、⑤児童発達支援管理責任者

児童発達支援管理責任者(資格要件あり)

実務経験と研修受講が要件となります。
複雑になりますので自治体(指定権者)毎に内容を確認しておく必要があります。

①資格と実務経験

  •  相談支援業務5年以上
  •  直接支援業務8年以上
  •  特定の資格保有者としての相談支援・直接支援業務の経験が5年以上

②研修受講

児童指導員(資格要件あり ※愛知県・名古屋市の例)

1 児童福祉施設の職員を養成する学校その他の養成施設を卒業した者
2 社会福祉士の資格を有する者
3 精神保健福祉士の資格を有する者
4 大学の学部で、社会福祉学、心理学、教育学若しくは社会学を専修する学科又はこれらに相当する課程を修めて卒業した者
5 大学の学部で、社会福祉学、心理学、教育学又は社会学に関する科目の単位を優秀な成績で修得したことにより、大学院への入学を認められた者
6 大学院において、社会福祉学、心理学、教育学若しくは社会学を専攻する研究科又はこれらに相当する課程を修めて卒業した者
7 外国の大学において、社会福祉学、心理学、教育学若しくは社会学を専修する学科又はこれらに相当する課程を修めて卒業した者
8 高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者、
大学への入学を認められた者若しくは通常の課程による12年の学校教育を修了した者
又は文部科学大臣がこれと同等以上の資格を有すると認定した者であつて、2年以上児童福祉事業に従事したもの
9 幼稚園、小学校、中学校、高等学校又は中等教育学校の教諭となる資格を有する者であつて、都道府県知事が適当と認めたもの
10 3年以上児童福祉事業に従事した者であつて、都道府県知事が適当と認めたもの

 

児童発達支援事業所の設備基準(愛知県・名古屋市の例)

設備 基準等
発達支援室 訓練に必要な機械器具等を備えること。また、合計で 3 ㎡×定員数(実活動スペース)の広さの部屋を 1 室確保する
二つ以上の部屋の面積を合わせることは不可であり、1 室で必要面積を確保する
定員が 11人以上の場合は、30㎡の1室と「定員×3㎡-30㎡」の別の部屋との面積を合わせて3㎡×定員数の広さを確保する
事務室 個人情報の漏洩を防ぐため独立した部屋とし、外鍵付きの扉を設け、鍵付き書庫を設置する
相談室 少なくとも 3 名が入れるものとし、談話や個人情報の漏洩を防ぐため独立した部屋とする
ただし、事務室内に相談室を設ける場合は、パーテーション等での区切ることも可能とする
トイレ・手洗い場 トイレは事業所外にあるものは原則不可
トイレ用の手洗いとは別に、手洗い場を設置すること
その他 建物について、以下の①又は②を満たすよう努める
①新耐震基準施行(昭和 56 年 6 月 1 日)以降に建築
②耐震診断で倒壊の恐れなしと判明又は改修(補強)工事実施済みの建物その他、サービスの提供に必要な設備及び備品等を備えること

 

まとめ

児童発達支援は、障害のある未就学児とその家族を支える重要なサービスです。​
事業を通じて、子どもたちの可能性を広げ、地域社会に貢献することができます。​
障がい福祉事業の指定基準は、自治体(指定権者)によってローカルルールが存在するため
開設を予定している自治体に応じて指定基準を満たす必要があります。
開設を検討されている方は、計画的に準備を進め、必要な情報を収集していきましょう。

当事務所では事業者様の開設・運営サポートを実施しています。
初回のご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせはこちらです

 

参考文献、出典
障害者総合支援法 事業者ハンドブック「指定基準編」
障害児支援施策(こども家庭庁)
障害児通所支援にかかる事業者の指定申請等について(ウェルネットなごや)

関連記事

ページ上部へ戻る